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社債ファンドの魅力─中長期の運用に最適な資産クラス

リーマンショックで急落も、厚めのクーポンゆえ、中長期では国債ファンドを上回る運用成績です

「短期の回転売買」営業は終焉へ

「投信の平均保有期間わずか2年」の投信業界で、「中長期での残高積み上げ」営業へ舵を切る動きが広がっています。販売や運用の現場でも「老後に備える資産形成をサポートでき、より幅広いお客様に投信をお薦めできるようになる」との社会的使命感に、士気が高まりつつあります。

同時に、「しかし長期向きの運用商品とは何だろうか?」との悩みも現場にあります。そこで長期向き運用として代表的な内外の社債ファンドの魅力と、玉石混交の商品群から選び取る際のチェック・ポイントをご紹介します。

魅力:厚めのクーポンで国債を上回るリターン

リーマンショック時など市場心理が悪化すると社債は大きく売られる一方、国債は安全資産として逃避的に買われがちです(図表の円囲み点線部分)。しかし、より長期でみると、図では約12年間で社債は1.5倍強となり、国債の運用リターンを上回っていることが読み取れます。

20190531_insight.png高めの運用リターンの主因は、社債は国債よりもクーポン(表面利率)が高めであり、より厚めのクーポン収入をインカム・ゲインとして積み上げていくことができるからです。

ポイント①:投機か?証券分析か?

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が恩師と仰ぐグレアム教授らの古典的名著『証券分析』(1934年版)は、90年前、米国市場が大暴落した元凶を、「(銘柄が割安か割高か判断する)証券分析を放棄した投資信託」が、「投機」行動をとったため、バブル形成とその崩壊を招いた、と記します。

証券分析を軽視するのが「投機」、重視するのが「投資」と説く古典的名著の教えは、現代でも広く支持されています。よって、内外の社債ファンド選定ポイントの第一は、「証券分析を重視しているファンドか否か?」と言えそうです。

ポイント②:絞り込めるユニバースは十分か?

ところが運用現場では、クレジット・アナリストの人数や経験等に制約され、証券分析の「質」と「量」を両方とも引き上げるのは至難の業です。アナリストがカバーする銘柄群──すなわち投資ユニバースが大きいほど、より値上がりが期待できる銘柄を発掘するチャンスが増え、運用成績を高められます。銘柄絞り込み効果が強く発揮されるのです。

一方、こうした「量」の拡大が行き過ぎると、アナリスト一人当たりカバーする銘柄数が増え、分析の「質」が落ち、値上がり期待のある銘柄を見逃してしまいます。この「質」と「量」のトレードオフをいかに是正しているか見極めることが、内外の社債ファンド選定の第二の評価ポイントと言えます。

ポイント③:市場全体の割安/割高の見極めは?

これら証券分析によって、ポートフォリオ組入れ候補となる銘柄群リスト(随時更新されます)を用意し、その中からどれだけの銘柄を組入れるべきか(アンダー/オーバー・ウェイト等)、市場全体のトレンドを見極めて判断します。景気変動等による市場トレンド変化を察知する体制を整えている社債ファンドか否かが、第三の評価ポイントになるでしょう。

社債リターンを享受する内外の運用事例

国内債の事例は、数年連続で評価会社から賞を受賞している債券ファンドが参考になりそうです。情報端末から簡単にダウンロードできる財務データに頼った「質」の低い分析でなく、有価証券報告書等を粘り強く読み込み拾ったデータを長年蓄積する等、上述『証券分析』の「第三章 情報源」そのものです。カバーする銘柄数も、担当セクター交替を控えアナリストの習熟度を高め、年月をかけ増やしてきたそうです。クーポンがより厚い銘柄に分析時間を割くメリハリも、(筆者が経験した)格付会社アナリストの流儀そのものです。

外債では、「5年未満の資金の運用に適しません」と正面から謳う英国運用会社の社債ファンドは好例でしょう。「市場全体は割高」としてポートフォリオの流動性比率を3割に高めるアンダー・ウェイト運用で、「市場暴落は安値で買える好機」と待ち構える、バフェット氏顔負けの長期運用です。単年度などの短期では、敢えてベンチマークに負けるアンダー・ウェイト運用ですが、ポートフォリオの残り7割の社債リターンで絶対リターンはそこそこ安定的にとる運用です。

(執筆者)
明治安田アセットマネジメント株式会社
チーフストラテジスト
杉山 修司

●当資料は、明治安田アセットマネジメント株式会社がお客さまの投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。また、法令にもとづく開示書類(目論見書等)ではありません。当資料は当社の個々のファンドの運用に影響を与えるものではありません。●当資料は、信頼できると判断した情報等にもとづき作成していますが、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料の内容は作成日における筆者の個人的見解に基づいており、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。また予告なしに変更することもあります。●投資に関する最終的な決定は、お客さま自身の判断でなさるようにお願いいたします。

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